何となく、これは大きいぞと思った。建物がきしむ音が大きくなり、職場は地下にあり、しかしかなり揺れた。大きな揺れの中、机の下に隠れて、死ぬときはあっけないんだなと覚悟を決めたりもしていた。職場は、東京の江古田という場所。震源地は、関東だろうと思った。千葉の近海か、神奈川か。しかし、ネットを見て動揺した。東北が震源地らしい。焦った。すぐに実家にメールをすると、無事なことがわかった。そのあとも、立て続けに大きな余震が続いた。仕事にならないので全員帰宅することに。電車は全部止まっていて、とりあえず江古田から中野までバスに乗った。中央線は、総武線も含めて止まっていた。家がある三鷹まで歩かないといけない。意を決して歩き始めたすぐ、中野駅近くにある小さな電気屋でテレビが流れていた。外からも見れるようなものだった。異常な光景がテレビの画面に映っていた。海が、波が、黒い水が、車も建物も、簡単に何もかも吞んでいた。ほうきでゴミを掃くように、陸の上のものを波が全部運んでいた。建物や車は抵抗することなく、それが自然な動きだというくらい流れていた。
何が起きているんだろう。大変なことが起きている。二時間くらい歩き続け、家に着いた。そのうち、妻も帰ってきた。二人でテレビに食いついた。ついこの前、籍を入れたばかりだった。そして1か月後に浅草で式を挙げる予定だった。東北にいる親戚をたくさん呼んで。これからどうなるのだろう。なにもわからない。なにがわかるかもわからない。そんな不安しかない夜。
そんな3.11。から15年。