身近なところで、自ら命を絶つ人たちがいた。
バイトへ向かう品川駅で、あの子を見た。とても重い足取りで、何か悩んでるという話は聞いていた。早足の人たちがたくさんの中、彼女の歩く遅さは目立っていた。声をかけようか、迷った。挨拶だけでもいいか。けどしなかった。
同じバイト先で、同じ仕事をしている彼とはほとんど話さなくなった。彼は変わっていた。ロシアが好きな人だった。ぼくの笑いの映像を見て、酷評した。ある一年の仕事納めの日、軽く来年の話をしていたら彼が、何かを呟いた。何を呟いたのか分からなかった。聞き返そうかと思った。けど、やめた。
よく死にたいと言っていた女性からたまにLINEがくる。また死にたいと言っていた。こちらがしんどくなってきて、少し辟易していた。スマホの中でやさしさではなく、反発で返した。それから二度と返事が来なくなった。
生きてりゃ色々ある。けど、自分が声をかけたり、動いたりしてたら、どうなっていたかなと今でも思う。そんなことを考えて今日もぼくは生きている。